みなさんは“高血圧”と聞くとどんなことを想像しますか?
そもそも血圧って何?血圧が高いと何が悪いの?どんな薬を使うの?飲まなきゃいけないの?
色々なご意見があるかと思いますが、まずはひとつ話を聞いて頂きましょう。
あなたは健康診断で指摘を受ける。少し高いですねと。今まではそんなことはなかったのに。判定は要治療。やれ食生活を見直せ、やれ生活習慣を改善しろと、保健指導の栄養士やかかりつけ医に口酸っぱく言われて、もーーたくさん!仕事や遊びに加えて、運動までしろとは何事か!そんな時間は無い!とあなたは反発する。放置して3ヶ月、ある時仕事中に、急に目の前が暗くなって倒れる、自慢の体は動かず、意識が遠のいていく、周りには誰もいない。もうダメかも….と思ったが、通りがかった同僚に運良く見つけてもらえた!だが意識戻らず、すぐ救急車で運ばれ、目覚めた時にはベットの上、主治医から詰められる「何で放置したんですか」と…….。大事になってからはもう遅いです。脳・心血管系疾患を罹患したら、もう薬からは離れたくても離れられません!知っているようで意外に知らない血圧のことを再確認しましょう!
- なんで高血圧を起きるのか?
血圧とは心拍出量と末梢血管抵抗が大きくなると高くなります。
心拍出量は交感神経亢進や食塩の過剰摂取などにより、心拍数や循環血液量が大きくなると増加します。
末梢血管抵抗は、同じく交感神経亢進や動脈硬化等で動脈壁の弾性が低下し、血管内腔が狭くなることで高くなります。
二つに共通する交感神経亢進とは、アドレナリンやドパミンといったカテコールアミンが分泌され、カテコールアミンは血管を収縮させたり、昇圧ホルモンの分泌に関与する作用があります。
♦よく聞く収縮期血圧や拡張期血圧とは何か?
収縮期血圧=心臓から血液を送す時にかかる血管壁の圧力(心臓が溜まった血液をギュッと押し出すので、血管壁の圧力は最大となります)
拡張期血圧=心臓に血液が戻ったときの血管壁の圧力(心臓が拡張して送り出す血液を溜める時にかかる圧力なので、血管壁の圧力は最小になります)
♦意外に知らない脈圧・平均血圧とは?
「脈圧」は収縮期血圧と拡張期血圧の差を指します。
正常値は40~60mmHgです。諸説ありますが65〜70mmHg以上の場合に動脈硬化が進んでいると言われています。
「平均血圧」は(収縮期血圧 -拡張期血圧)÷3 +拡張期血圧
で求められ、基準値は90mmHg未満です。
例えば、血圧が130/80の人は脈圧50mmHg(130-80)、平均血圧は約96mmHg(50/3+80)です。血圧のみならず、脈圧、平均血圧にも注意が必要ですので必ず確認しましょう。
脈圧は太い血管の動脈硬化、平均血圧は細い血管の動脈硬化の指標になります。
なぜかというと、例えば血管が全く弾力性がないコンクリートの様なものであった場合を考えます。
血圧の割合を(10)とすると、収縮期血圧は弾力性が無いので、太い血管に溜めることが出来ず(10)となり拡張期血圧は、血管がポンプの役割をしないので0となります。
若年者の弾力性のある血管であれば、血管に血液をためておくことができるので、血管壁にかかる圧力を(10)→(2)のように減らすことができ、拡張期血圧に関しては溜まった血液(8)を押し出さなくてはいけないので、高くなります。動脈硬化が進むと、若年者は(2)まで下げることができたのに対し(8)までしか下げることができず、血液が溜まっていない(2)ので、若年者に対して拡張期血圧は低くなります。
次に細い血管ですが、細い血管が硬くなると、結論どちらの血圧も高くなります。
なぜかというと、血圧=心拍出量と末梢血管抵抗だからです。
更に太い血管に流入する血液量が増えるため、拡張期血圧も上がります。平均血圧の式から読み解ける様に、拡張期血圧の寄与が大きい為、平均血圧が大きくなると細い血管が硬くなっているということになります。
- まず高血圧は大きく2種類に分けられます。原因不明な本態性高血圧と高血圧を生じる疾患から発生する二次性高血圧です。さて、どちらが多いと思いますか?そうです。原因不明な本態性高血圧がおよそ9割以上を占めます。原因不明とは言いつつも、大体どんなことをしていると高血圧になるか想像できると思います。
例えば不規則な食事、運動・睡眠不足がありそうですね。健康診断で血圧を指摘されたら、まずは私生活の是正が第一選択です。運動の目安や食事については、後述しますのでそちらをご確認ください。さて問題は二次性高血圧です。
こちらは私生活の改善だけでは対応ができませんので、注意して下さい。例えば①若年者(30歳未満)または50歳以上で突然血圧が高くなってしまった
②短期間で大きく血圧が上昇した(目安は6ヶ月)
③180/100mmHgを超えるような重症高血圧
④降圧剤を服用したが効果が見られない
以上のような場合に二次性高血圧を考慮します。主な原因疾患としては腎臓に問題がある腎性高血圧、ホルモン異常で生じる内分泌性高血圧が挙げられます。これは問診だけで診断ができませんので、血液検査や超音波検査、MRA検査や造影剤による検査を行います。 - 高血圧の受診目安(二次性高血圧を疑う所見を除く)
家庭血圧が135/85mmHg 平均血圧90mmHg以上 脈圧65mmHg以上 - 疾患に応じた降圧薬(西洋薬編)
Ca拮抗薬
ACE阻害薬
ARB阻害薬
利尿剤
β受容体遮断薬
アルドステロン拮抗薬 - 疾患に応じた降圧薬(漢方薬編)
大柴胡湯
七物降下湯
黄蓮解毒湯
柴胡加竜骨牡蠣湯
八味地黄丸
防風通聖散
半夏白朮天麻湯 - 高血圧を緩和する日常生活
減塩・適度な運動・ストレスを減じる行動・睡眠不足の改善 - 受診すべき診療科・専門医(かかりつけ医がいる場合を除く)
循環器内科 循環器専門医
内分泌代謝科